女性検診受診率向上プロジェクト 第3回「アニバーサリー乳がん検診」ミニエッセイ受賞作品発表

女性検診受診率向上プロジェクト

今年も、「アニバーサリー乳がん検診ミニエッセイ募集」にたくさんのご応募をありがとうございました。 
みなさまお一人お一人の体験とそこから生まれる思いがたくさん詰まったエッセイの中から、まず今年は3つの作品が選出されました。
本来であれば、メノポーズ大賞1名、アニバーサリー賞1名となりますが、いずれも甲乙つけがたく、3作品とも「アニバーサリー賞」とさせていただくことになりました。

また、本企画を見守り、ご支援してくださった方に心から御礼申し上げます。

NPO法人メノポーズを考える会理事長 三羽良枝


 受 賞 者
 メノポーズ大賞 ・・・・・・・・・ 該当者なし
 アニバーサリー賞 「四月十六日」   照山愛さん   38歳
「自分の誕生日」  植木由紀子さん 59歳
「ママさんバレー打ち上げの頃」 藤木佐百合さん 43歳
 受賞作品
 
   「四月十六日」        照山 愛


今でも忘れない。私の乳がん検診初体験は八年前の30才の四月十六日だ。ある日郵便受けに入っていた市からの一通の無料検診のハガキ。そこには子宮がん・乳がんを無料で受けられる、と説明があった。無料という文字につられ出向いた病院だったが、実は私には胸が小さいという昔からのコンプレックスがあり、医師に「乳がん検診は要りません。」と言ってしまった。不思議そうに「なぜ?」と聞かれ、つい正直に「こんな小さな胸が乳がんになるわけないからです。」と答えると看護婦さんを含め周囲から笑いが起きた。医師に「何を言ってるの。そんなの全く関係無いんだよ。その歳になったら検診が何より大切な予防なんだから。」と優しくも苦笑混じりに諭され、和んだ雰囲気の中で私は無事両方の検診を終えた。帰り際、「来年も必ず来なさい。恥づかしがっていたら君の健康は逃げてしまうよ。」と言われ、以来絶大な信頼の元、四月十六日を勝手に「乳がん検診日」と称し、その温厚な医師に乳房のホームドクターになって頂いている。

「受賞のコメント」
恥ずかしがったり怖がっていれば、健康を自ら手放す事になってしまうと思います。私の小さな体験談で少しでも多くの女性が乳がん検診を受けるきっかけになって下されば嬉しいです。



  「自分の誕生日」   植木由紀子


今年私は還暦を迎える。同世代の友人達は「いやね、六十代突入なんて」とぼやいたりしているが、違う思いが私にはある。よくぞ還暦までたどり着いたという感慨である。
 11年前の夏、乳ガンの手術を受けた。人間ドックで発見してもらったのだ。うかつなことに2期にまで進んでいた。だから「このドックを受けていなかったら…… 」と想像するのも恐ろしい。還暦を迎える私は存在しなかったかもしれないのだ。この後に起こった我が家の記念すべき出来事……娘のハワイでの結婚式、愛しい孫たちの誕生、夫の定年、海外旅……などには参加出来なかったかもしれないし、家族は淋しい思いをしただろう。そう思うと今あることは感謝のみだ。乳癌になって分かったことは「特効薬はない、早期発見が一番大事」ということだ。だから「何を置いても最低年一回は検診を!」と経験を踏まえて声を大にして言いたい。今年も、もうじき私は還暦の誕生日検診を受ける。

「受賞のコメント」
私にとって今年は60歳という区切りの年でしたので、記念の意味もあり作品を応募しましたところ、思いがけず賞を頂くことになりました。大変感激しております。
私は11年前に人間ドックで乳癌を発見してもらいました。検診はまさに「命の恩人」です。この体験を踏まえ、これからも微力ながら周りの方々に検診の大切さを伝えていかれたらと思っています。
本当に有り難うございました。


 
  「ママさんバレー打ち上げの頃」
  藤木佐百合


「ハイ!ビールおかわりぃ」。毎年恒例ママさんバレーの打ち上げは豪快だ。みんな良く飲みよく笑う。そんな中、ふと誰かの口からマンモグラフィーという言葉が漏れた。「って何?」と聞き返した私に、チーム屈指の酒豪ママが突然真顔になり乳がん検診の大切さと検査の様子を身振り手振り交えて説き始めた。そして最後に満面の笑みで「かわいい子供を守ったらなアカンやん」と。思えばいつの頃からか、自分自身の健康は他人事となっていた。そんな私に、彼女の言葉は“愛する人を守る事は自分を守る事なのだ”と教えてくれた。そして私は二日酔いの頭を抱えてマンモグラフィーデビューを果たした。
そんな今思う。最初の一歩は、はっ!と気付いたその時なのだと。誰かに強制される訳でなく自らが必要だと感じたとき。恥ずかしながら私の“その時”は二日酔いで頭を抱えた日になるが、この時感じた思いを大切にしたいから、この日を検診記念日とした。

「受賞のコメント」
それまで他人事でしかなかった私に検診に行くきっかけを与えたくれたのが友人の一言でした。そして、年に一度の検診を決意させてくれたのがこのエッセイ応募でした。
大切な人のために自分を守っていく。それが女を生きる義務。今、心からそう思います。大切な事を教えて頂いた上、素晴らしい賞を頂き、心から嬉しく思っております。本当にありがとうございました。


 審査員
 ・斉藤光江氏(乳腺外科医・順天堂医院乳腺科診療科長)
 ・難波清氏 (乳腺外科医・イーク丸の内理事長)
 ・見城美枝子氏 (青森大学教授・エッセイスト)
 ・前田美波里氏(女優)
 ・服部真湖(まこ)氏 (女優)
 ・三羽良枝(メノポーズを考える会理事長)
 ・安井禮子(メノポーズを考える会副理事長)
 「ミニエッセイ受賞」作品から
「乳がん検診は大切な予防」
一歩踏み出して守る乳房と女性の健康


日本女性の乳がんは増え続けています。しかし、乳がん検診の受診率は13%台と、アメリカの70%に比べ非常に低いのが現状です。
女性自身が意識をもってマンモグラフィー(乳房X線撮影)を受けてほしい。自分の乳房と健康を守ることは、愛する家族や、地域や職場の仲間にとっても大事なことなのだから。そんな願いを込めた当会の「アニバーサリー乳がん検診ミニエッセイ」募集には、今年も、石垣島や北海道など全国から多くの作品が寄せられました。その行間からは、女性の暮らしの情景や、家族への思い、母と娘のきずな、パートナーを見守る男性のやさしさも伝わってきます。

同時に、受診率を上げるためには、乳がん検診を受けやすくする制度の充実や医療担当者の適切な対応、正確な情報の普及の重要さも読み取れます。
18歳の若さで乳がんを体験した方からの応募もあり、高校生から乳がん検診の大切さを教えるアメリカの例にならって、学校でも女性の教養科目として教えてほしいと思います。

「アニバーサリー賞」に選ばれた3篇では、照山愛さんは無料検診のはがきが検診を受けるきっかけとなり、さらに医師の「検診は何より大切な予防」の一言が、信頼と継続につながりました。受診率を上げるには、きっかけづくりや検診の現場の対応も課題でしょう。

植木由紀子さんの、乳がん体験を乗り越えて迎えることができた60歳という言葉にも胸打たれます。もし、あのとき人間ドックを受けていなかったら、娘の結婚式や孫の誕生、夫の定年の場面に自分の姿はなかったかもしれない。「特効薬はない。早期発見こそが一番大事」という言葉にも体験の重みがあります。

藤木佐百合さんは、ママさんバレー仲間の打ち上げの席で、マンモグラフィー検診の体験を話す酒豪ママの話に啓発されて、自分も検診を受けることにした例。正確な情報を持つ人がいれば、スポーツや趣味の交流も、更年期を含めた女性の健康の貴重な情報提供の場になりそうです。

「アニバーサリー乳がん検診」関連企画では、順天堂医院乳腺科科長の齊藤光江先生へのインタビュー「知っておきたい日本の乳がん検診と治療の最前線」(2回連載)をホームページで特集しています。
「早期発見は大事だが、そうでなくでも治療手段はちゃんとある」という乳腺外科医としての齊藤先生の言葉に救われる思いの女性もいるでしょう。治療法の進化や乳がんのタイプに合わせた治療法など、ぜひお読みいただきたい内容です。その中から「しこりがないときに受けるのが検診」「しこりがあるときは検診ではなくすぐに受診」という“常識”も覚えておきましょう。


  安井禮子/当会副理事長、医療・健康ジャーナリスト 

「知っておきたい日本の乳がん検診と治療の最前線」はこちら





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