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監修:後藤英樹・鶴見大学歯学部眼科学教室准教授
パソコンや携帯電話の普及で、どうしても目を酷使しがちな現代。さらに「女性は男性よりも目の乾きや疲れなどの不調が起きやすい傾向があります」というのは、鶴見大学歯学部眼科学准教授・後藤英樹先生です。
ドライアイ、白内障の専門医である後藤先生は、目の疲れやしょぼしょぼ感に手軽にできるリフレッシュ法として「目を温めることが効果的です」といいます。
ものを見るのに、筋肉を使っていると意識することはあまりありません。でも、
「目の中には「水晶体」というレンズを調節する「毛様体筋」という筋肉があります。何かを見ようとする時には、この筋肉が緊張して水晶体の厚みを変え、ピント合わせをしているのです」
と後藤先生は言います。
パソコンで動く映像や文字を見続ける時、針仕事など細かい作業をする時は、ピントを調節し続けるために、毛様体筋も緊張し続けます。
ちょうどハードなスポーツをした後に起こる筋肉の凝りと同じことが、目の中でも起こっているのです。
「老眼」とは、目のピント調節がうまくできず、ものがかすんで見えにくくなるもの。これは、毛様体筋や水晶体が弾力性を失い、調節力が衰えることから起こります。
また一日中、目を使い続けた後の夕方、一週間使い続けた後の金曜日には、同じように「目のかすみ」「ぼやけ」「不快感」が起こりやすくなることがわかってきました。
こうした現象も、「目を使いすぎ」「目の筋肉が凝っているよ」のサインといってもいいでしょう。

目の疲れや乾き、違和感を覚えたら、どうしたらいいのでしょう。薬局にはさまざまな種類の点眼液がありますが、どんな製剤が自分の症状にあっているのかわかりにくいことも多いですね。
そこでいろいろな疾患の起きやすい40代以上では、眼科を受診して目の健康診断も定期的に受ける必要もあるでしょう。
また、毎日家庭でも簡単に取り入れられるケアとして、後藤先生は、蒸気などで『温めること』をすすめています。
「目を温めることの心地よさを経験的に知っている方は多いはず。調査でも、夕方老眼、週末老眼の起こっている人の目を蒸しタオルで温めると、ピント調節力が改善されるというデータが出ています」(後藤先生)
蒸しタオルを目に当てても、1〜2分ですぐ温度が下がってしまうので、10分間、約40度を維持するよう5本を使って試験を行ったところ、図のような結果が得られたというのです。
「同じように、目の表面の蒸発量を計測する機械を使って調べたところ、蒸しタオルを10分ぐらい当てることで涙の蒸発量をかなり抑えることができるというデータも出ました。この時、ドライアイ用の点眼液を併用するとさらに効果的です」
つまり、蒸しタオルでドライアイの症状を緩和し、ピントの調節力を上げることができるというのです。
作業前より作業後、または月曜日より金曜日のほうがピント調整力は下がっているが、
蒸しタオルで40度・10分間目を温めることにより、調整力を上げることができる。
「別の試験ではドライアイや疲れ目を改善することで、瞳の輝きが増すこともわかっています」
と後藤先生。ちょうど、皮膚が乾燥すると肌色につやがなくなり、カサカサして見えるというのと同じなのでしょうか。夕方、または週末、鏡を見ると顔色がさえないという時は、目をリフレッシュさせてあげるとよいかもしれません。
また、目を温めると、まるで全身のコリがほぐされるような脱力感を得ることができます。これについて数字的なデータはありませんが、後藤先生は「目はいろいろな神経の集まっている場所。目を温めることで、全身へのリフレッシュ効果も期待できるのでは?」と言います。
一般に、目の疲れから肩こりや頭痛が起きやすいと言われます。当会の調査でも、更年期世代の女性の不調として「頭痛・頭重・肩こり・めまい」などは高い頻度で起こっていますが、果たしてこれらは目の疲れと関係があるのでしょうか。
「頭痛や肩こりの原因は本当にさまざまですが、少なくとも後頭部の凝りは目の疲れからも来ることがわかっています」(後藤先生)
首の後ろにある筋肉の付け根で、ツボでいうと「天柱」「風池」のあたりです。パソコンや読書で目を使った後にこのあたりを押すと心地よいことを実感する方も多いでしょう。
目といっしょに後頭部も温めるのもよさそうです。
ドライアイとは、単に「涙が出ない」だけの問題ではありません。
健康な目の状態では、瞳の上を水分が覆い、その表面を油膜が覆って水分の蒸発を防いでいます。しかしドライアイでは
・目を覆っている水分が少なくなる
・水分の表面を覆う油分が少なくなる
という2つの現象が起こるというのです。
「つまり、涙の量が少ない上に涙の質も変化しているということです。表面の油がないので、ただでさえ少ない水分が、どんどん乾いてしまう。なぜ女性のほうがこうしたドライアイになりやすいかということはまだわかっていませんが、女性と男性を比べるとあまりにも女性のほうが多いので、女性ホルモンが関係しているとも考えられます」(後藤先生)
パソコンでの作業など、目を酷使している時はまばたきが減り、目の潤いが減りがちです。それが「乾き」として自覚される場合もあれば、ぼやける、かすむ、しょぼしょぼする、目の疲れ、疲れなどのさまざまな症状になって出ることもあります。私たちの目は、いくつかのメカニズムでダメージを受けてしまうのです。

※この記事は花王株式会社パーソナルヘルスケア研究所のご協力により作成しました。
(資料提供:花王株式会社)