海外の更年期医療状況調査

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2008年5月 報告(2) 台湾視察1.
  
”Research on Current Situation of Menopausal Care Overseas” Vol.2 Situation in Taiwan 1.


NPO法人 メノポーズを考える会 医学博士 有馬牧子
Makiko Arima, MPH, Ph.D.
 
 はじめに

Vol1で述べたように、台湾では更年期医療がアジア諸国の中で最も普及している。ホルモン補充療法普及率はアジア諸国の中でも17.4%と最も高いことが分かっている。これら普及の歴史や背景、要因を調べるため、2008年4月27日から30日まで台湾に更年期医療状況についての視察調査を行った。最初に、簡単に台湾の人口状況と医療制度について触れたい。


1.台湾の人口について 〜日本人口との比較

2007年現在で、台湾の人口は2290万人である。台湾女性の平均寿命は79.8歳(2007年)、男性で73.7歳である。更年期世代と考えられる、50歳以上の女性の人口が全女性人口に占める割合は18.3%、そして男女合わせた全人口に占める割合は8.9%である。
一方で日本女性について見てみると、平均寿命は85.5歳(2006年)、50歳以上の女性が全女性人口に占める割合は43.3%、全人口に占める割合は22.2%である。このように台湾と比較すると、日本の50歳以上女性が占める割合は圧倒的に多いことがわかる。


2.台湾の医療制度について 〜全民健康保険制度(NHI)

 台湾では、1995年に単一の医療保険制度(全民健康保険制度:National Health Insurance: NHI)を導入した。それまで中小企業を中心に保障をしていた医療保険制度をまとめ、すべて厚生省(Department of Health: DOH)が統括する社会保険制度となった。財源は税金と保険料で賄われている。
強制加入の保険であるため、現在では国民の99%が加入している。患者は大学病院や専門医など、すべての医療機関にフリーアクセスで受診ができる。医療費は基本として出来高払い制、診療報酬は1点1NS$としている点などにおいて、日本の医療保険制度と類似が見られる。

〜NHIの給付内容〜
NHIの給付内容は包括的で幅広いことが知られており、給付範囲は、入院診療、外来診療、漢方外来、漢方薬、処方薬、介護サービス、分娩、リハビリテーションサービス、子供の予防医療、家庭医療サービス、慢性疾患のリハビリテーションサービスなどである。一部、カバーされない薬や医療行為がある。

〜NHIの幅広い給付内容と評判〜
NHIは「低い保険料で包括的な給付内容、満足度の高いサービス」として知られているため、台湾は2000年の「エコノミスト紙」に世界の2番目に健康な国として表彰された経緯がある。
保険料は被保険者の扶養家族数、給与によって異なる。被保険者は保険料を毎月納付し、医療を受ける際に自己負担分を納付する仕組みとなっている点も日本と類似している。

〜医療費抑制のために〜
一方で、フリーアクセスのために外来診療が多くなるため、医療費を抑制する複数の施策が取られている。その例として、
 (1)「治療成果に応じた支払い制度」、
 (2)「総額予算制度:Global budget」、
 (3)「合理量”Reasonable Patient Volume Standard”」などである。
(3)については一日の外来患者数を一定とし、患者数によって外来の診療報酬点数が変わる仕組みとなっている。これにより外来受診率を抑える仕組みとなっている。その他の制度については、また追って報告させて頂きたい。


3.台湾視察 〜高雄市〜

(1)高雄医学大学付属中和記念病院
訪問初日に、台湾南部の高雄市を訪れた。高雄は台北に次ぐ第二の都市として知られている。
今回、高雄市内へは、2005年に台湾に開通したばかりの高速新幹線で台北から約1時間半で行くことができた。高雄市では、高雄医学大学付属中和記念病院を訪れ、産婦人科教授の李昭雄医師(Dr. Jau-Nan Lee)に更年期医療状況についてインタビューを行った。
写真1. 
高雄医学大学付属中和記念病院全体その1
写真2.
高雄医学大学付属中和記念病院全体その2
(http://www.kmuh.org.tw/より)
高雄医学大学付属中和記念病院は、1954年に創設され、現在では総病床数1,700と、高雄市内でも大規模な私立病院として位置づけられている。スタッフについても医師数288名、研修医238名、看護師1,351名、医療従事者を合わせて計2,987名を擁する。

(2)婦産科の様子
同病院の婦産科(産婦人科)は、通常の産科の他に7部門の外来に分けられ、それぞれ1.婦人科癌外来、2.更年期・骨粗鬆症外来、3.不妊・内分泌外来、4.高リスク妊娠外来、5.細胞遺伝外来、6.精神科外来、7.泌尿婦人科外来である。
外来を見学して印象的だったのは、産婦人科内での各外来の受付窓口・診察室が独立しており、特に不妊外来については、通常の産科外来と区別して完全に独立した入り口が作られていた。これにより患者さんのプライバシーが尊重されるだけでなく、待ち時間や行列スペースを減らすよう工夫がされているようであった。
更年期患者の外来数は産婦人科患者数の約30〜40%ということであった。
写真3.
産婦人科外来入り口  
母乳を与える母親のポスターが右手に見える。
写真4.
産婦人科外来窓口の様子
 


4.台湾の更年期医療の普及について 〜インタビューその1

李昭雄教授は、高雄医学大学婦人科教授であり、以前に台湾更年期医学会理事長も務められ、台湾の更年期医療を進めた第一人者の一人として知られている。李教授のオフィスにてインタビューを行った。
李教授は、台湾での更年期医療普及の背景には、大きく分けて
  (1)マスコミによる啓発、
  (2)議員や団体が共同で行う啓発、
  (3)医師への啓発、
  (4)一般女性への啓発
が効果的であると述べた。
(1)については、更年期についての啓発をマスコミやメディアが協力し、テレビやコマーシャル、広告、新聞など活用し、呼びかけることが重要であると言っていた。また学会や地元の市議会や女性議員、女性団体がコラボレーションをし、更年期啓発プロジェクトを行う意義の大きさについて述べていた。
李先生へのインタビューの続きについては、次号にて報告を行いたい。




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