47歳の主婦。生理は半年ほど前からなく、頭がもやもやしたり、不眠、疲れやすさ、のぼせなどで、家事やパートの仕事をこなすのがつらい毎日でした。婦人科を受診したところ、更年期と言われ、ホルモン補充療法を始めました。エストロゲン剤のパッチを貼ってこれらの症状はかなり改善されたのですが、足のむくみや胸の張りなどがあります。HRTは続けたいのですが、こうした反応を抑える方法はありますか。
家事やパートの仕事など、それまでやっていたことが急にできなくなったというのは、更年期の女性からよくきかれる悩みです。「私はどうかしてしまったのかしら」と不安になり、あちこちの医療機関を受診する方も多くいます。
更年期には、卵巣機能がおとろえて、それまで分泌されていた女性ホルモン・エストロゲンが急激に減少します。エストロゲンは、脳、血管、骨、皮膚、脂質代謝など女性の身体全体を守る働きをしていますから、程度はさまざまですが、8割近い女性に何らかの更年期症状が出るといわれます。症状の種類も300くらいあるといわれています。
ホルモン補充療法(HRT)は、少量のエストロゲンを補充して、さまざまな更年期症状を改善し、QOL(生活の質)をよい状態に保つための治療です。用いられる薬剤は、エストロゲン(飲み薬と貼り薬,ジェル剤がある)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の2種類(子宮を切除した場合はエストロゲンのみ)を用いますが、人によっては薬による副反応が出る場合があります。
むくみや胸の張りもその例で、併用する黄体ホルモンの作用でつわりのような胃のむかむかを感じる人もいます。こうした場合、先ずは医師に相談することですが、同時に自分でも工夫してぴったり合う方法を探す方もいます。
例えば、
1)エストロゲンの飲み薬なら、半分に割って飲む。あるいは1日おきに飲む。
2)貼り薬なら、貼りかえる間隔を1日多くあける
3)ジェル剤は、半量を塗る
4)最初の3ヵ月くらいは、エストロゲンのみを使用、黄体ホルモンの影響を避ける。
5)より作用の弱いエストリオール製剤に変えて、様子を見る。
医師に相談の上、自分の体調は自分でコントロールする意識をもちましょう。
更年期の先には、もう一つの長い人生が待ち受けています。産める時期から産まなくてよい時期へ向う女性の人生の転換期ともいえます。
この方の場合、生理がなくなったとほぼ同時に婦人科を受診して更年期の治療を始められたのは、人生の後半期を健康に過ごすためにも、むしろよいスタートを切ったといえるでしょう。
エストロゲンの働きを上手に活用しながら、健康寿命を伸ばす工夫は、超高齢社会の選択肢としても注目されています。
※この記事は、毎日新聞社発行『毎日らいふ』(ライフ・クリニック 心とからだの相談室)に掲載されたものです。
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