PMS(月経前症候群)/PMDD(月経前不快気分障害)かなと思ったら…【チェックリスト】
目次
月経がはじまる前のココロとカラダの不調
PMSやPMDDについてはまだまだ知られていないことも多いのですが、女性に取っては毎月繰り返すもので個人差がありますがひどい場合は人間関係や社会活動にも支障をきたすこともあります。
PMS/PMDD(PMDs)の原因
PMS/PMDD(PMDs)の原因にはいろいろな説がありますが、排卵を抑制すると症状が抑えられることが分かっているため、排卵後に増える黄体ホルモンが誘因であるといわれています。ホルモンの分泌が悪いのではないかと心配される方もいますが、逆にちゃんと排卵してホルモンがでているから症状がでるのです。
その他にも脳内のセロトニンやGABA(γアミノ酪酸)といった脳の神経に作用する神経伝達物質アロプログナノロンの低下が誘因であるという説や、ストレスとの関連性が報告されています。
PMS/PMDD(PMDs)が心配な方へ
まずは、この疾患を正しく理解することが大切です。下記のチェック表を利用して、自分の症状を知ることから始めましょう。
症状の記録
いつどのような症状が出たかなど症状の記録を取ることで、自身の症状と月経周期との関係を認識することができます。
生活習慣の見直し
規則正しい生活や規則正しい睡眠、適度な量の運動を定期的に行うようにします。
コーヒーやアルコール、塩分は症状を悪化させる可能性があるので減量するようにし、ビタミンやミネラルをバランスよく摂取する食生活を心がけるようにしましょう。
PMS/PMDD(PMDs)の治療
生活習慣の改善で効果があらわれなければ、我慢せずにはやめに専門医に診てもらうことをお勧めします。PMS/PMDD(PMDs)は医師による問診で診断され、症状に合わせカウンセリングや生活指導、薬物療法などが選択されます。
薬物療法
比較的軽症であれば排卵を抑えることのできるOCやLEPなどの女性ホルモン製剤を使用します。その他にも鎮痛剤、安定剤、漢方薬などを使用します。SSRI(セロトニン選択的取り込み阻害剤)などの軽い抗うつ剤が処方されることもあります。
なお、日本でも発売されているドロスピレノンを含有したLEPは、身体症状と精神症状の両方に効果があることが分かっており海外ではPMDDの適応*を持っています。
また、ビタミンB6の一種であるピリドキサミン**なども現在治療薬として期待され、治験が行われています。(医薬品としては認可されていません)
「PMDsに対するピリドキサミンの治療効果を検討する医師主導治験について」
PMS/PMDD(PMDs)チェック表
月経が始まる1~2週間前に、月経が始まると数日以内に無くなるか軽くなる以下の症状はありますか?
まったくない | 少しある | ある程度ある | かなりある | |
1、悲しい感じ、おちこんだ感じ、ゆううつ、絶望感、自分自身が価値のない存在であると感じたり、罪の意識を感じた。 | ||||
2、不安、緊張、興奮、イライラした感じ | ||||
3、突然悲しくなったり涙もろくなった。拒絶に対して過敏になったり感情が傷つきやすくなった。 | ||||
4、怒りを感じたり、怒りやすくなる。 | ||||
5、普段の活動(友人、趣味、学校)に興味がわかない。 | ||||
6、ものごとに集中できない。 | ||||
7、無気力を感じたり、あきあきしたり、疲労を感じた。 | ||||
8、つねにお腹がすいており食べすぎた。あるいは特定の食べ物に執着を感じた。 | ||||
9、寝すぎた、朝起きるのがつらかった。あるいは寝付けなかったり夜中に目が覚めた。睡眠の状態が普段と違った。 | ||||
10、圧倒された感じがしたり、うまく対処できないと感じた。あるいは自制できないと感じた。 | ||||
11、乳房のはりや痛みを感じた。頭痛、関節痛、または筋肉痛を感じた。体重増加や体のむくみを自覚した。 |
上記1~11の不快な症状のどれかで以下のようなことがありますか?
まったくない | 少しある | ある程度ある | かなりある | |
A 職場、学校、自宅での日常生活で仕事、勉強、家事がはかどらなくなった。 | ||||
B 趣味やクラブ活動・社会活動への参加をやめたり参加回数が減った。 | ||||
C 他人との関係に支障をきたした。 |
1~11はPMS/PMDD(PMDs)の典型的な症状です。A~Cは社会生活の障害度を示します。
1~11までの「ある程度ある」以上が5つ以上あり、かつA~Bまでの「ある程度ある」以上が1つ以上ある場合は、治療を考えてもいいPMS/PMDD(PMDs)が疑われます。
Takeda T, Arch Womens Ment Health, 2006 「PSQ(PMDs症状スクリーニング票)より引用改訂」
PMS/PMDDは月経周期における女性ホルモンの変動が関連している可能性があることから、婦人科の医師にも相談できます。月経前に不調がある場合は月経トラブルの一つとして相談してみてください。