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-女性の健康について- このページは更年期の症状に関する記事です。

環境の変化、人間関係の悩み(更年期と介護問題、子育ての悩み、仕事のストレス、更年期ロス、ご近所・友人つきあい)

更年期の複雑な悩みのイメージ

更年期女性をとりまく環境は変化している

更年期の時期、女性ホルモンの急激な減少は誰にでも起こりますが、どんな症状がどのように起こるか、その深刻さは人それぞれです。そこには、女性ホルモン減少だけでなくその人の性格や感性、ストレス耐性、その人のおかれている家庭環境や社会的な立場、経済問題なども影響すると考えられます。このページでは、そうした周囲との人間関係や環境と、更年期症状との関連を示す声をまとめました。

仕事を持つ女性にとって、40~50代は職場のリーダーになるなど、仕事上の立場や人間関係に変化が生じる時期です。また、家庭では、妻や母などの役割として家族・親族の中で人間関係のカナメになる役割を果たしていることも多いものです。世代的には夫も同じで、職場でも責任のある立場となる世代になります。

このため、自分の仕事、夫の仕事や社会的地位、子どもの就職や結婚、介護、それらに伴なう経済的な負担などの家庭環境の変化は、更年期世代の女性にとってはストレスや疲労感の大きな要因にもなっています。

更年期症状にはエストロゲン減少、本人の気質、環境も影響する
更年期に起こることについて全般的に知っておきましょう

育児・介護・更年期の不調が重なる「トリプル・ケア」

かつては更年期症状の原因として「からの巣症候群」という言葉がありました。子育てが終わり、子が離れていったことによる寂しさから無気力になる状態を示しています。しかし現代では、結婚年齢や出産年齢が上がったことにより、更年期に子育て真っ最中で忙しい思いをしている人も増えてきました。同時に、少子化の影響により兄弟数が減り、親の介護に関する負担はより大きくなってきました。このため、更年期に子育てと介護のどちらも重なって、ますます体調の悪化を招いている場合があります。これはまさに「トリプルケア」の状態で、当協会の電話相談にも困っている女性の声が届いています。

カギのひとつは夫やパートナーとのあり方

子育てや介護は、夫婦や家族がみんなで担うべきもの。とはいえ、現代の更年期世代では家庭内にこれらの問題があったとき、生活を変えざるをえないのは女性のほうが多く、そのストレスが症状に響いていると思われる女性も多いのです。

また、夫婦間の悩みでは、体調が悪いのに夫が乱暴なセックスを求めてきて怖いという悩みの声もよくありますし、その逆にセックスレスの悩みをこぼす声も寄せられます。更年期は、それまで子育ての陰であまり意識してこなかった、パートナーとの関係のあり方が問い直される時期ではないかとも感じます。夫・パートナーの方にもお伝えしたいのは、不調を和らげるだけでなく老後に尾を引かないためにも、今、互いの思いを持ち寄って話をするべき時期かもしれないということです。

互いの思いを伝える時間も大切に

家族のためにも早めの受診を

閉経を挟んだ10年間(概ね45~55歳前後)の「更年期」の中でも、本当に症状がつらいのは長びく人でも3~4年ともいわれます。しかし本人にとっては、その数年は長くつらいトンネルに感じるでしょう。このとき、つらいのは不調を抱える本人だけでなく、そのようすに接している家族も同じです。最初は心配してくれた家族も、はっきりしない症状がいつまでも続くとしだいに話も聞いてくれなくなる・・・。こうした悩みも電話相談にはよく寄せられます。

身近な関係の家族で、何とかしてあげたいと思うからこそ、つらいようすをみているだけでも心の負担になるのです。家族の思いに応え、できるだけ不調を長引かせないためにも、一人で抱え込まず、なるべく早めに更年期の専門医を受診することです。痛みや倦怠感、不安が強くて1人では病院に行けないようなときは、そのためのサポートをこそ遠慮せずに家族に頼みましょう。よくなるために行動しようとする姿勢は、家族にとっても前向きな心の支えになるはずです。

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捉え方を変える、別の視点から見る工夫も

更年期障害・症状の治療法は、HRTや漢方薬など確立されたものがあります。自分にあった薬に出会うことができれば、そんなに長引かせず改善することが可能です。しかし性格や環境は薬では変えられません。そこで提案したいのは、少しものの見方や考え方を変えてみることです。

これまでの自分や今の環境をどうとらえるか、プラス面、マイナス面をどう見るかでストレスの強さはずいぶん変わってきます。更年期治療を受けつつ、自分をいとおしみ、これまでの人生を肯定し、周囲の人のをプラス面で受け取れるようになれると、治療効果もぐっと上がってくるはずです。 

更年期ロスをどう乗り切る? 仕事やライフワークをあきらめない工夫を

ずっと仕事を続ける女性は増えていますし、子育てが一段落した40代以降から新たな仕事につき、可能性の幅を広げている女性も増えています。一方で、やりがいのある仕事を持ちキャリアを積み重ねてきたのに、更年期の症状により仕事を辞めざるを得なかったという「更年期ロス」に関する悩みも電話相談には多く寄せられます。

ホットフラッシュ(多汗)や動悸など、更年期には自律神経のバランスが乱れることによって起こる症状も多く起こります。職場などでは、そうした不調を周囲に知られたくないという緊張から、さらに症状が強くなってしまうこともあります。同僚や上司の気配りのない一言で気持ちが沈んでしまったり、人間関係がギクシャクしやすいのも、更年期にありがちなこと。大変な時期ですが、続けてきた仕事ややりたいことをあきらめず、適切に医療を活用して不調を乗り越える工夫をしていきましょう。

一人で抱え込まずに周囲を頼る力を

仕事、子育て、介護の重なる忙しい今を乗り切るための切り替え方として、これまでの「何でもこなしてきた自分」にこだわらないということも大切です。無理な部分は上手に周囲の助けを求めるなど、周囲をうまく巻き込んでいきましょう。体調の悪さをぎりぎりまで耐え忍ぶのではなく、できるだけいつも心地よく過ごせるよう受診や体調ケアも早めに行ってみてください。

相談できる人を持ちつつ、決めるのは自分

友人や同僚に相談したら、健康食品や健康法をすすめられたという話もよくあります。何人か集まれば健康の話になる世代だけに、さまざまな情報が入ってくることでしょう。その健康法が体調改善のきっかけになる場合もあるかもしれませんが、何がよいかはその人しだいなのです。自分の健康に関することは、おつきあいで流されるわけにはいきません。周囲とよいコミュニケーションを築いて情報はとりいれつつ、自分のことは自分で決めるという主体性も必要でしょう。

健康リテラシーを高めることで安心して働ける環境づくりを

更年期には何が起こるのか、女性自身が女性の生涯にわたるホルモンの変化と健康課題を学ぶことは、自分の体を知る上でとても重要です。そして職場でも多くの人に月経や更年期に関する正しい知識があれば、そんな心の緊張を和らげ、働く人にとって心理的な安全性の高い職場づくりにつながります。このことも、女性が更年期の問題で自分の進路をあきらめざるを得ないという「更年期ロス」を防ぐことにつながるのではないでしょうか。

女性の健康について知識を得ることも、よりよい働き方やコミュニケーションづくりに役立ちます

【みんなが感じている環境の変化、人間関係の悩み】(当協会電話相談より)

家族関係(夫が理解してくれない、夫との距離)

動悸と胸の苦しさで眠れない日が何日も続いたとき、隣で寝ている夫の平和な寝息を聞いていたら、無性に腹立たしくなってきた。夫は協力的なほうで「具合が悪ければ寝ていていいよ」と言ってくれるのだが、やはりこの苦しさの本質は理解できないだろうなと感じる。(51歳・閉経49歳)

海外に単身赴任していた夫が5年ぶりに戻ってきた。しかしこちらの体調が悪いのに気にかけてくれようともしないし、こちらも「やっかいな人だな」と思うばかり。5年も離れていたらもうよその人です。(51歳・閉経50歳)

夫から「更年期なんかでは死なない」と言われた。食べ物の味が分からない時期もあって、小さなことだけれどとてもつらかったのに。(46歳・閉経41歳)

性交痛があり夫の要求に応えられない。夫婦関係がギクシャクしてきて、夫の下着も別にして洗濯している。(55歳・閉経53歳)

娘が結婚し、パート勤務も潮時だと思ってやめた。ようやくゆっくりできると思ったら具合が悪くなった。血圧をはかるとそのたびに上下していて、自分が病気なのか血圧計が壊れているのかわからない。不安なことがたくさんあって夫に訴えていたら、夫からは「もういいかげんにしてくれ」と言われてしまった。結婚以来、こんなに夫に距離を感じたのは初めて。(53歳・未閉経)

子育て、子離れの悩み

娘の結婚話や息子の就職などで大変な時期を何とか乗り越えたと思ったら、不調になった。月経不順、夜眠れない、足がふらつく、指の関節がこわばって箸が持てないなどの症状が続いている。もともと生真面目で、人からサボっていると思われるのがイヤでつい頑張ってしまう。「もっと気楽に考えれば?」といわれるが、手を抜けない。この性格のせいでよけいにつらいのだということは自覚している。(45歳・未閉経) 

子ども二人が結婚と就職で家を出たとたん、月経が止まって食欲がなくなった。内科、心療内科、漢方医と何度も先生を変え、婦人科でホルモン検査を受けたらエストロゲン値が下がっているといわれ、HRTのパッチを始めたところ。(51歳・閉経49歳)

精神的にひ弱で自立できない娘(29歳)のことが気がかりで、ゆったりした気分になれない。最近は私にめまいや頭痛があって体調が悪いので、そんな娘でもそばにいてくれると安心する。夫は外では有能な人で、早く出勤し帰りが遅い。ほとんど家にいないので長年母子家庭状態が続いている。(55歳・閉経50歳)

周期的にうつ状態がひどくなる。流産を4回経験しており、子どもは息子が1人。今は中学生で手がかかるが、これから彼が自立していくのかと思うと寂しくてたまらない。(49歳・閉経49歳)

介護、子育て・仕事との重なり(トリプルケア)

親の介護がきっかけで会社を辞めたが、かえって息抜きできる場をなくしたような気がする。つい頑張ってしまい自分を見失いがちなので、精神的な面を話せる医師に出会いたい。(54歳・未閉経)

両親があいついで倒れ、介護のために仕事をやめたらその直後から更年期症状が出るようになった。だるくて肩こりがひどく、のぼせて頭がふわふわする。毎日、父の入院する病院と母の住む実家を回り、家事と介護を何とかこなしているが、ときどき自分が自分でないような感じがする。夫は理解しようともしない。(48歳・未閉経)

12年間実父を介護し、その間は自分の時間と言うものがなかった。やっと介護が終わったと思ったら自分の体が思うように動かない。婦人科で「更年期障害」と診断され、HRTを始めることにした。50代ならこの治療ができるというので、今受診してよかったと思う。早く治して自分の人生を取り戻したい。(59歳・閉経44歳)

母がボケて介護のため仕事をやめてから体調が崩れた。母は自分以外の人を受け付けないので、休みたいが休めない。(52歳・未閉経)

親の介護と子どもたちの中高受験が重なって、精神的な負担がつらかった。骨粗鬆症検診を受けたら骨量がかなり減っていることがわかり、治療を始めることになった。健診センター付属の内科でカルシウム剤とHRTを処方してもらって飲みだしたら、気持ちが少し軽くなってきた。骨には効いているかどうかはわからないが、精神的にも更年期だったのだと気が付いた。(53歳・閉経51歳)

父が2年前がんで死亡、娘の受験、母の介護などが立て続けにやってきて、落ち込みやイライラ、肩こりがひどく体調に波がある。月経はとびとびになってここ数か月来ていない。(51歳・未閉経)

姑はアルツハイマーで、8年間の介護の末に昨年亡くなった。介護の期間中はストレスのせいかずっと自律神経失調症で、11年間睡眠薬を飲み続けていた。そのせいか、閉経したときはこれといった症状は感じなかったが、介護が終わった今になって体調が悪い。子どもたちからは「家に閉じこもっていないで外に出て気分転換したほうがいい」といわれるが、めまいがして真っ直ぐ歩けないので外に出るのが怖い。(62歳・閉経52歳)

引っ越し、環境変化、経済問題など

41歳で子宮筋腫のために子宮と卵巣の摘出手術を受けた。その直後に夫の転勤が決まり、引っ越しのあとひんぱんに頭痛やめまいに襲われるようになった。きっかけは転居先で社宅の裏にある工場の騒音なのだが、社宅住まいなので周囲の付き合いもありトラブルは起こせない。そのうちパニック発作で外出もできなくなり、心療内科や精神科にも通院したが釈然としなかった。今日、地元の大学病院婦人科で教授の診察を受け、はっきりと「更年期のせいです」と言ってもらえ、安心して涙が出た。(49歳・閉経41歳)

夫が知人の連帯保証人になったことから借金を負い、今は離婚して自分の親と同居しているが、ふるえやのぼせなどの体調不良が続いている。母も高血圧で体調が悪く、何かと気を使わなければいけないのでしんどい。月経周期が乱れ、経血量も減っているので婦人科で女性ホルモン値を調べたら、更年期の数値だと言われた。(45歳・未閉経)

4~5年前から体調がすぐれなかったのだが、1年前からめまいがひどくなり仕事に行かれなくなった。その間に同居の義母が亡くなり、リストラにあった夫も再就職、息子も大学進学、みんな動き出したのに自分だけが取り残されたよう。外に出てみたいが今一歩踏み出せない。(49歳・未閉経) 

友人とのつきあい

知り合いに更年期で体調が悪いとこぼしたら、「薬はダメよ。いい健康食品を知っているから紹介してあげる」と、50万円もするお茶を売られそうになった。(58歳・閉経53歳)

人の言葉がいちいち気に触るようになり、友人のなんでもない一言で傷ついてしまう。人間関係がイヤになってパートをやめ家でぶらぶらしている。夫からは文句を言われるし、これからどうなるのだろうと思う。(54歳・閉経42歳)

知人に「更年期障害で食欲がなくやせた」と言ったら、「あらうらやましい。私も更年期障害になってやせてみたいわ」と言われた。(49歳・閉経48歳)

夫の転勤で引っ越しをしてから、めまいや耳鳴り、だるさで動けなくなった。友人に症状のつらさを話したら「家でひまにしているからじゃない?」と言われた。転居のために仕事もやめざるを得なかったのに、まるでサボっているように言われてつらい。(52歳・閉経51歳)

仕事関係

40代の終わりを期に、20年以上勤めた会社を退職した。その後しばらくして閉経し、その頃から気分の落ち込みや胸の圧迫感が始まった。今は家にいて、気がつくとため息をついている。朝もなかなか起きられない。誰かに相談したいが、これまで仕事ばかりだったので近所づきあいがなく、近くには話のできる友人もいない。(51歳・閉経49歳)

49歳ぐらいから物忘れがひどくなり、仕事の抜け落ちが多くなってきた。部下に何を指示しようとしていたのか、いきなり思い出せなくなってしまう。昇格したばかりだが社内でも部下に陰口を言われているようだし、会社に降格を申し出たい。(50歳・未閉経)

全身のだるさや節々の痛みなどで会社のイスに座るのが辛くて、仕事にとりくめない。ソファのように包んでくれる感じのイスなら座っていられるのだが、そんなことも言い出せないで鬱々としている。(51歳・閉経50歳)

職場では誰もが自分の持ち場で忙しくイキイキとしていて、更年期のことも具合が悪いことも言えない。たまに飲み会をするママ友たちはみんな元気で、相談しても「気の持ちようだよね」と笑い話にされてしまう。会話する人はたくさんいるのに、相談できる人は誰もいない。(48歳・未閉経)