調子が悪いとき、どの診療科を受診したらいいの
更年期に起きた症状は、基本的に婦人科を受診
50代で起こるさまざまな症状には、エストロゲンの減少によって自律神経が影響を受けて起きるもの(自律神経失調症状)が多くあります。このため、全身のあちこちにさまざまな不調があらわれるのが、更年期症状の特徴のひとつです。
ひとつひとつは小さな症状なので「こんなことで受診していいの?」と思うこともあれば、逆に「こんなにあちこちつらいのだから、体のどこかに変調をきたしているとしか思えない」と思うこともあります。また、いくつもの症状が日替わりで表れることがあるため、何科の診察を受けたらいいのかもわからなくなってしまったりします。そこで、50代前後で月経不順や閉経とともに起きるこうした症状は、一度は婦人科を受診することをおすすめします。
専門科のチェックを受けることも大切
いろいろな症状があってとにかく調子が悪いと思うときは、まず「カラダのどこがどうつらいのか」「特につらいのは何か」を、自分の体に聞いてみてください。それらの症状をリストアップし、「一番先に治したいのはどの症状?」と自分に聞いてみましょう。
もし「胸がドキドキして息苦しい」を一番不安に感じるなら、まずは循環器科に行き、心電図などの検査を受けるのもいいでしょう。女性の50代は生活習慣病やうつ病など、さまざまな病気が起こりやすい時期でもあります。職場健診や住民検診を定期的に受けて、異常がないことを確認しておくのはもちろんですが、自覚症状があったときは「更年期だから」と思い込んで見逃さないことも重要なのです。
ただし、たくさんの症状があるとき、それぞれの診療科を受診していると検査結果を整理するだけでも大変です。場合によっては、血液検査など何度も受けることにもなり、医療費も時間も浪費してしまいます。そこで、まず婦人科を受診し、そこで紹介状などをもらって各診療科の検査を受けるという方法もあります。大きな病気がないことがわかれば、安心して更年期症状として治療を進めることができます。
更年期症状との鑑別が重要な病気
【動悸、息切れ】 狭心症、不整脈、鉄欠乏性貧血など
【頭痛、めまい、ふらつき】 脳腫瘍など脳の病気、高血圧、起立性低血圧など
【多汗、のぼせ、疲れやすい、むくみ、しびれ】バセドー病、橋本病など甲状腺の病気など
【手指のこわばり、痛み】関節リウマチ
【のどのつかえ】逆流性食道炎、喉頭がん、甲状腺炎など
【不正出血】子宮頸がん、子宮体がんなど
【イライラ、うつ気分】うつ病
更年期のうつ症状と、うつ病を見極める
女性が一生の間にうつ病にかかる率は、男性の2倍も高いといわれます。特に起こりやすいのは、40代後半からの更年期です。産後うつを経験した人や、PMS(月経前症候群)が非常に重かった人では、更年期にもうつになりやすいという報告があります。
そこで、以前にこうしたうつ症状にかかったことのある人は、更年期に入って気分の落ち込みなどを感じたら早めに婦人科や精神科のかかりつけ医に相談しておきましょう。また、うつ病の既往がなく、ホットフラッシュや動悸などとともに心の不調を感じたら、婦人科を受診して心の症状についても相談しましょう。婦人科でも、HRTや漢方だけでなく、軽い抗うつ剤や精神安定薬の処方が行われています。
そして、更年期の治療を受けてうつ症状が改善しないとき、または医師からの提案があったら、精神科や心療内科のカウンセリングを受けることも考えましょう。うつ症状を早めに抜け出すには、更年期の視点を持つとともに、更年期にこだわりすぎないことも重要です。