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-女性の健康について- このページはPMS・月経にまつわる症状に関する記事です。

月経期の女性に多い貧血。動悸やだるさ、集中力低下など「更年期っぽい症状」の原因かもしれません

40代、閉経前は過多月経から貧血になりやすい

更年期は45 ~ 55 歳とされていますが、卵巣機能の低下は閉経(平均50.5 歳)の10 年前位から起こり始めます。そこで40 代はホルモンバランスのゆらぎにより、月経不順になる人も出てきます。

月経の周期は通常25~28日で通常5日程度続きますが、周期が短くなり月経がひんぱんに訪れたり一度の出血量が増えたりすると、貧血(鉄欠乏性貧血)も起きやすくなります。特に子宮筋腫、子宮内膜症のある人は出血量が多くなりがちです。生理用ナプキンの性能が上がり吸収力がよいため、過多月経になっていても自分では気づかない場合も多いのです。

  • 月経周期が24日以下の「頻発月経」になっている
  • 塊のような出血がみられ、日中でも夜用のナプキンを使っている

 このようなときは「漏れなければ大丈夫」と考えるのではなく、婦人科の受診をおすすめします。

婦人科ではどんな相談ができるのですか

貧血を改善するために鉄剤などの処方を受けるだけでなく、原因となっている子宮筋腫や子宮内膜症の治療を行うことも婦人科で相談できます。また、月経痛の緩和、月経量を減らす対策として、子宮内膜のみに局所的に作用する黄体ホルモン(IUS:レボノルゲストレル子宮内システム)が月経困難症、過多月経の治療薬として保険適用になります。

鉄欠乏性貧血でなぜ更年期のような症状が起こるの?

貧血とは、血液中の赤血球が正常よりも少ない状態です。血液検査では「血中ヘモグロビン(Hb)」「血色素量」の数値でチェックします。

赤血球は、全身に酸素を運ぶ役割をしており、血色素(ヘモグロビン)という赤い色素を含んでいます。このヘモグロビンの材料になっているのが鉄です。そこで、体内に鉄が足りなくなると血中ヘモグロビンが低下し、血中に酸素が行き届かず、めまいやたちくらみ、だるさ、頭がぼーっとするなどの症状が現れるのです。

血中ヘモグロビン濃度は、女性は12~16g/dl(男性では14~18 g/dl)が基準値で、これより低いと貧血が疑われます。

貧血により起こりやすい症状

  • 心拍数増加、頻脈、動悸、息切れ(酸素の運搬量を上げるために血液循環が早まる)
  • 頭痛、めまい、疲労感、倦怠感、立ちくらみ(脳や各臓器の低酸素状態)
  • 食欲不振(消化器の低酸素状態)
  • 顔色が悪い(少ない酸素を内臓に優先的に運ぼうとするため、皮膚をめぐる血流が制限される)
  • 一部の人では「氷などの固い塊をガリガリかじりたくなる」という症状が出ることも(異味症,異嗜症)

このように、貧血で起きる症状は一見すると更年期症状や自律神経失調症によく似ています。そこで貧血であることに気づかないまま、「更年期だから」とあきらめてしまっている場合も起こりえるのです。女性の40~50代は、貧血を含めてさまざまな体調不良が起こる世代です。婦人科検診、一般の健康診断を受けることは、こうした異変を見つけるためにも重要です。

数値が正常でも症状が出る。「隠れ貧血」にもご用心

「月経量が多い」「貧血かな」と思ったとき、血液検査で「血中ヘモグロビン濃度(Hb)と合わせて注目してほしいのは「血清フェリチン(貯蔵鉄)」の数値です。

体内の鉄不足は、まず貯蔵鉄の減少から始まります。このため、初期の貧血では、血中ヘモグロビン濃度に変化がなく、「血清フェリチン(貯蔵鉄)」の数値が下がっている場合があるのです。

これを「隠れ貧血」といったりします。貧血における未病の状態ともいえるでしょう。たとえて言うなら、ヘモグロビンは店頭に陳列された商品で、フェリチンは倉庫の中の在庫です。体内の鉄分が少なくなると、倉庫の中の在庫をどんどん出荷して店頭の欠品を防ごうとします。そこでまずフェリチンが減少し、さらに鉄不足が続くとヘモグロビンが減少するのです。

「血中ヘモグロビン濃度は低くないが、血清フェリチンが低い」という状態がわかったら、病院で処方された鉄剤や鉄のサプリメントなども使用して、回復を図りましょう。鉄の吸収をよくするにはビタミンCやたんぱく質を十分に摂ることをお勧めします。

回復の目安として、血中ヘモグロビンだけでなく血清フェリチンも健康な状態に戻っていることを確認するとよいでしょう。

「貧血っぽい」は貧血ではない場合も

立ち上がったときのめまいやふらつき、目の前が真っ暗になるなどは、「脳貧血(起立性低血圧)」かもしれません。急に頭を持ち上げたことで血圧の調整がおいつかず、脳が酸素欠乏になって起こるもので、自律神経失調症(不定愁訴)の一つとも考えられます。

40代の女性は仕事や家事、育児、介護と何重にも負担が重なり、睡眠不足になることもしばしばです。そんな生活の中で疲れがたまると、ホルモンバランスのゆらぎとも重なり自律神経の調節がうまくいかずめまいやふらつきが起こることもあります。「貧血っぽいな」と思うときは、こうした生活習慣にも気を付けてみてください。